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四川省の北西部にある岷山の奥地に、仙人が住んでいそうな美しい場所があります。それが九寨溝です。九寨溝は中国でも唯一、世界遺産と世界生物圏保護区の両方に登録された観光名所です。九寨溝の「寨」は少数民族の村、部落という意味です。荷葉寨、樹正寨、則渣窪寨などのチベット族の古い部落が九つあることから九寨溝と名づけられました。九寨溝風景地区は成都から400キロメートルあまり離れており、四川省阿覇チベット族チャン族自治州南坪県にあります。
九寨溝の観光地としての歴史は浅く、今からわずか20年余り前に知られるようになりました。また、当時は交通の便が極端に悪かったため、限られた人間しか立ち入ることの出来ない秘境でした。しかし、発見から10年後には、道路が全面的に舗装されて、誰でも気軽に訪れることが出来るようになりました。
風景区の面積は1300平方キロメートルで、118個の大小さまざまな湖や滝、泉などが点在し、神秘的な世界を創り出しています。「黄山から帰ったら山を見たくなくなり、九寨溝から帰ったら水を見たくなくなる」と言われるように、その素晴らしさは水の演出にあります。川が、湖、泉、滝、せせらぎを一つにつなぎ、動と静をあわせ持ち、色彩は浅藍から紺色まで層をなし、千変万化の姿を見せます。それを見る人は色の識別が出来なくなってしまうほどです。
ここには樹木も豊富で、緑、深緑、淡黄、黄金色などの自然色があふれています。湖には樹林が合わせ鏡のように映り、さまざまな変化を見せて人々を幻想的な世界に導きます。色彩豊富な水、色とりどり樹林、水に映る倒影、そして少数民族の集落と森の水車などが、絵にも書けない美しさを演出しています。それは、自然が織り成す交響楽のようで、独特な景観となっています。これは神からの贈り物であり、人類が理想とする桃源郷といっても過言ではありません。
九寨溝の園内の道はY字形をしています。Yの字の分岐点に諾日朗瀑布があり、左の終点が長海、右の終点が原始森林です。主な見所としては、樹正溝、日則溝、則査窪溝、諾日朗瀑布などがあります。
※この記事は、中国人ガイドさんに教わった話です。
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